「ソト」から見たおおあらいVol.38(森本和博様)

 

海上保安庁 舞鶴海上保安部

巡視船だいせん業務管理官

森本 和博(Morimoto Kazuhiro)

1965年   福岡県生まれ
海上保安大学校卒業後、海上保安庁入庁
2021年3月 茨城海上保安部長・日立港長
2023年10月 第八管区 舞鶴海上保安部
巡視船だいせん業務管理官

 

2年半の間大変お世話になりました

「ぜひ、広報紙の原稿を書いてください。」
「 わかりました、私は間もなく離任しますので、後任に書くように引き継いでおきます。」
「 いやいや、後任の方には別に頼むので、ぜひ書いてください。」
「・・・」
離任の挨拶に赴いた際の町長と私のやり取りになります。

令和3年3月に茨城海上保安部に参りまして、令和5年10月に京都府舞鶴市にございます舞鶴海上保安部所属の巡視船だいせんへと異動することとなり、今号が発刊される頃には、既に茨城の地を離れ、荒れる日本海の洗礼を浴びていることと思います。
2年半の間、業務を行う上で大洗町の皆さんには大変お世話になりました。紙面をお借りしお礼申し上げます。在任中の大洗町への印象などを記述したいと思います。
その前に、茨城海上保安部の沿革や海上保安庁の業務を簡単に紹介いたします。
沿革としては、昭和26年7月1日に東京海上保安部那珂湊分室として産声を上げたのがスタートとなります。私が着任した令和3年が丁度昭和26
年から数えて70周年の年に当たりました。
その後、那珂湊警備救難署、那珂湊海上保安署、那珂湊海上保安部へ組織が拡大し、さらに下部組織として鹿島海上保安署、日立分室の設置、磯埼航路標識事務所との統合などを経て、平成16年に名称を茨城海上保安部に変更し、今に至ります。

続きまして、海上保安庁の業務ですが、パンフレットの文言を借りると
1 「領海・EEZを守る」尖閣諸島周辺海域や大和堆周辺海域での対応がこれに当たります。
2 「治安の確保」海上犯罪の取り締まり等がこれに当たります。
3 「生命を救う」船舶事故・人身事故発生の際の船舶救助・人命救助がこれに当たります。
4 「青い海を守る」海上環境関係法令違反取締りや図画コンクールなどの指導・啓発がこれに当たります。
5 「災害に備える」船舶事故の際の油などの排出などの事故災害や地震津波などの自然災害への対応がこれに当たります。
6 「海を知る」海洋の調査がこれに当たります。
7 「海上交通の安全を守る」海難防止指導や灯台などの管理がこれに当たります。
8 「海をつなぐ」世界の海上保安機関との連携・協力がこれに当たります。
当部の業務としては、2~5、7が主たる業務となっています。

大洗町の印象についてですが、まず着任前から当部がガルパンとコラボしてポスターやクリアファイルを作成していたのを知っておりましたので、急ぎレンタルビデオショップに行き、全てを借りて、一気見しました。着任後は大洗町のいたるところにポスターや立て看板等があるのを見て、その盛り上がりに感心いたしました。
業務的なところでは、大洗サンビーチの海水浴場開設前に大々的な官民合同での海難救助訓練を実施しました。官民問わずレスキューに携わる機関の皆様が熱い思いを持っていることに感動いたしました。
また、サンビーチでは、はまぐりが無料で採ることができることから潮干狩り客が多数来場されますが、使ってはいけない道具や小さなはまぐりは採ってはいけないなど、漁業資源保護の観点から制限があるのに、これに違反して密漁を行う者が多数いたことから取締りを強化しました。未だ犯罪が0には至っていないのですが、かなり少なくなってきている印象は持っています。

離任挨拶の際に町長にも申し上げたのですが、特にこの密漁取締りに関して町長であったり、漁協の組合長であったり、会合等でお会いする度にお礼を頂けることが多くありました。
その際このことは、必ずうちの職員に伝えなければと思い、朝会であったり全体会議の場であったり、機会を捉えて必ず伝えるようにしました。
我々の仕事は、特に取締りに関しては、恨み言を言われることはあっても感謝やお礼といった言葉をいただける機会があまりありません。漁業資源の保護のためということは頭では分かっているのですが、負の言葉ばかりかけられるとモチベーションの低下のおそれがあるため、私を始め課長以上から褒めたりはするのですが、部内ですので効果も徐々に薄れている感があったところでした。
そこへ、町長や組合長からお礼を頂いたので、職員に「お礼を頂いたぞ、君たちのやっている仕事は地元の方から感謝されているぞ。」と伝えたところ、部内のそれよりも効果は絶大で、職員のモチベーションを上げることができました。誠にありがとうございました。

さて、冒頭で申し上げた通り、私は離任し舞鶴へと向かいます。2年半の間頂いたご厚情に感謝申し上げます。今後とも当部へ対しての変わらぬご理解ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

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